ついにSpotify(スポティファイ)が日本でサービスイン、アプリの提供を開始した。PCはWindowsとMac、スマートフォンはiOSとAndroid、PlayStation 3、PlayStation 4に提供される。PCはブラウザ版とアプリ版の二種類。現時点では招待制となっておりすぐに利用することはできない。招待コードはSpotifyのウェブサイトから申請可能。
Spotify says Hello to Japan pic.twitter.com/OdnYKE6yDP
— Shakil Khan (@shak) September 29, 2016
Spotifyは4000万曲以上という膨大なカタログと、フリープランの存在が大きな特徴。日本ではフリープランの提供が困難とされていたが、Spotifyはそこを崩さない姿勢をつらぬき、日本でも欧米と同様、広告ありの無料の「Spotify Free」、月額980円(税込)の「Spotify Premium」が用意された。
「Spotify Free」は、音声広告が入り、スマートフォンではシャッフルプレイのみ、PCとタブレットはオンデマンドで利用可能。「Spotify Premium」は広告がなく、楽曲のダウンロードが可能で、より高音質の320kbpsで再生できる。決済は、クレジットカード、キャリア決済、コンビニエンスストアなど、複数の選択肢が用意されている。なお、他国で提供されている最大5人までのファミリープラン「Premium for Family」についてはまだアナウンスがない。
また、世界に先駆けて「歌詞機能」を日本で初めて導入する。
今日は、Spotify が日本でのサービス開始を正式に発表する、記念すべき日となりました。限りなく豊かな音楽カルチャーの中で、もはやクラシックと言える坂本九さんの”Sukiyaki”こと「上を向いて歩こう」や、BabymetalやONE OK ROCKが生まれ、世界に類を見ない情熱的な音楽ファンのいる日本という国でサービスを始められることは、個人的に感慨深いものがあります。
いつか、日本でも展開したいという夢を抱いて、初めて東京を訪れたのは、 Spotifyを創業してからまもない2009年後半のことでした。この素晴らしい街に、今や世界最大となったストリーミング・サービスと共に戻れたことを、最高に嬉しく思っています。
Spotifyは過去6年間で急速な成長を遂げましたが、常に変わらず根底にあるのは音楽への尽きることのない愛と、世界が今まで見たことのない最高の音楽サービスを創りたいという深い情熱です。
出展:Facebook
記者会見
Spotifyの共同創業者でCEOのダニエル・エクが来日し、9月29日都内で記者会見が開かれた。音楽ライターの柴那典氏のツイートを引用する。
スポティファイCEO、ダニエル・エク「沢山の方はご存じないかもしれなませんが、スポティファイが日本で活動を開始したのは2009年の暮れのことです」
— 柴 那典 (@shiba710) September 29, 2016
スポティファイジャパン代表取締役ハネス・グレー「2008年にスウェーデンでサービスを開始してから、現在、世界で1億人以上のファンが利用。そのうち4000万人がプレミアムユーザー。4000万曲以上を配信し、20億を超えるプレイリストを提供」
— 柴 那典 (@shiba710) September 29, 2016
ハネス・グレー「スポティファイの機能『ディスカバー・ウィークリー』と『リリース・レーダー』があることによって、リスナーは自分の好みにあった毎週の新しいリリースを知ることができる。歌詞を見ながら楽曲を再生すること、ランニング中に走るテンポに合わせた音楽プレイリストの生成も可能」
— 柴 那典 (@shiba710) September 29, 2016
ハネス・グレー「スポティファイは日本でもフリーミアムサービスを実施。広告つきのフリープランと月980円のプレミアムプラン。フリープランは”無料お試し期間”ではなく、スマートフォンではシャッフル、PCとタブレットではオンデマンドで全ての楽曲を無料でプレイ可。サービス開始は今日」
— 柴 那典 (@shiba710) September 29, 2016
スポティファイ、ライセンス&レーベルリレーションズ・リーダー野元晶「ドイツではCD売り上げがいまだ過半数を占めるが、レーベル売り上げの10%はスポティファイからの収入が占める。1998年以降レコード産業の規模は減少するが、2012年スポティファイの開始以降、4年連続の上昇へ」
— 柴 那典 (@shiba710) September 29, 2016
ダニエル・エクCEO「スポティファイのローンチは日本の音楽文化を海外に発信できるよい機会になると思います」
— 柴 那典 (@shiba710) September 29, 2016
反応
ただ邦楽の品揃えは、他とどっこいどっこい。オリコンチャートの半分もない。これが日本の定額制配信が盛り上がらない最大の理由。調査でもそうでてます。「無い曲ばっかで『有料会員になって』って言われても、それならYouTubeで十分」ってみんな答えてる。海外ではほぼ100%揃ってるのに。
— Mikiro Enomoto 榎本幹朗 (@miky_e) September 29, 2016
BABYMETALの快進撃。宇多田ヒカルの『Fantôme』が本人が驚くほど海外でヒットしていること、そしてSpotifyがようやく日本でもローンチしたこと。おそらく日本の音楽シーンにおける「内と外」の関係は、ようやく次の段階に達しようとしているのだと思う。
— 柴 那典 (@shiba710) September 29, 2016
失われた7年はあまりにも重い(日本の音楽シーンにとっても、Spotifyにとっても)と思ってますhttps://t.co/rdFZonSiSd
— 宇野維正 (@uno_kore) September 29, 2016
他とSpotifyの違いはまず「無料」があるか。なので他の事業者がどうするかにも注目。次に「プレイリスト」。学習系の権化といえるところだけど、蓄積も多いし、そこでの差をどう感じるか。ストリーミングミュージックって、「プレイリストで聞く」ことにこそコアがある。
— Munechika Nishida (@mnishi41) September 29, 2016
Spotifyはけっきょく日本向けにサービスを合わせるよりも、業界が受け入れるまで待って無料サービスの維持を選んだということで、これが吉と出るか凶と出るかはさておき、一番最悪な「日本向けにカスタマイズしたのに失敗」は避けられたと。
— yu koseki (@youkoseki) September 29, 2016
「Spotify」ついに日本上陸。今回は本当にリリースされるんだろうけど、どれだけ時間がかかったんだ。無料プランがネックだったのだろうが……。https://t.co/YpHtPYnUxL
— heatwave_p2p (@heatwave_p2p) September 29, 2016
え!!Spotifyくんの!
おせーよてめー!— の子 (@0u0HaNako666) September 29, 2016
日本の一般的なリスナーは自分の知っている楽曲しか聴かない傾向が強いので、Spotifyの無料版は集客施策としてはあまり有効に機能しない可能性高いのだけど、そこを中の人(とくに非日本人の本国経営陣)は理解できるのかどうかで今後の運命は決まると思う。
— やまだ(仮名) (@wms) September 30, 2016
Spotifyの記者会見を見てると、他のサービス会社と決定的に違うのが、ニュースの見出しを作りたくなるような、コピーをダニエル含め意図的に発言してるところ。他のサービス会社の会見やリリースではまず見られない。これも重要な戦略のひとつ。(続く)
— シューヘータカノ@Modern Age (@groundcolor) September 30, 2016
あと、業界を中心としてSpotify上陸に便乗する人たちの発言も多いのが特徴。良くも悪くも。このツイートだってそう。つまり、『初めまして、Spotifyです。ではなくて、待ってたよSpotify』と少なくとも業界トライブや音楽ファンに言わせたことは大きい。(続く)
— シューヘータカノ@Modern Age (@groundcolor) September 30, 2016
実質、最後発で出遅れた分を取り戻す可能性を4年間も維持できたのもSpotifyの海外における強さがあってこそ。そして、逆に音楽サブスクリプションサービスが出揃った中で最後発の弱点を『世界最大の音楽サービス』という謳い文句で登場できたことは強い。(続く)
— シューヘータカノ@Modern Age (@groundcolor) September 30, 2016
最後にフリーミアムプラン。招待コードで飢餓感を醸成し、一般公開となった際にSpotifyは『誰に向けて』コミュニケーションデザインするか。新規で取りに行くか。リプレイスをまずは狙いに行くか。どちらにせよ競合もSpotify対抗策は出てくるはず。音楽がもっと日常に広がりますように。
— シューヘータカノ@Modern Age (@groundcolor) September 30, 2016
2013年に日本法人を設立するも、AWA、LINE MUSIC、Apple Music、Google Play Music、Amazon Prime Music、Rakuten Musicに先行を許してしまったSpotify。全世界で4000万人の有料会員を有する黒船の着港はずいぶんと遅れてしまったが、これによって日本の音楽ストリーミング市場はさらに盛り上がるだろう。YouTubeで音楽を聴いているようなライトな音楽リスナーに「音楽にお金を払う」という習慣がつくことを期待したい。
予告から“4年の空白”の間に、日本ではApple Music、Google Play Musicなどの競合サービスが相次いで登場している。Spotify JAPANのハネス・グレー代表取締役は「サービスの品質の担保、音楽業界やアーティストとの調整などに時間を要した」と説明した上で、「先行するサービスはあるが、無料と有料の両プランを持っていることがSpotifyの強み」と巻き返しに意欲を見せる。
Spotifyの創設者でCEOのダニエル・エク氏は「日本の音楽業界でリーダーシップを発揮していきたい」とコメントしている。
出展:ITmedia
Spotify
spotify.com / iOS / Android
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