Spotify(スポティファイ)がついに日本でサービスを開始した。世界で1億人以上が使い、4000万人以上が有料会員という、世界最大の音楽ストリーミングサービスだ。2008年のサービスを開始からもう8年も経っている。日本法人の設立は2013年。サービスインの噂は何度かもちあがるも、実現せず、AWA、LINE MUSIC、Apple Music、Google Play Music、Amazon Prime Music、Rakuten Musicに先行を許してしまった。それでも今回、Spotifyは大きな話題となり、温かく迎えられた。
USにあった曲が、UKにあった曲が日本版にないとか、アーティスト名や曲名が日本語で視認性が悪いとか、ロイヤリティ云々であのアーティストの楽曲がないとか、Genius連携がないとか、そういったことは一旦置いておいて。歓迎すべきは、日本の音楽が世界とさらにつながりやすくなったことであり、それを日本からも観測できるようになったということだ。
UQiYOというインディアーティストの例ですが、私たちが「UQiYOの曲が良い」と世界のキュレーターにピッチしたところ、ドイツのキュレーターが反応し、「Top of the morning」という朝向けのプレイリストに収録されました。すると、100人だったリスナーが一気に5万人に増えたのです。一旦ユーザーが増えると、そのユーザーの友達が好きになったりと、さらにリスナーが増えていきます。こうしたファンとアーティストをつなげられる事例を実際に見せられたのはとても効果がありました。
出典:CNET
サービス内にフックアップの仕組みがあり、しかも大きな影響力がある。Spotifyのプレイリストは、聴かせるという点において、世界一の力をもつ音楽メディアと言える。Sean Parker(ショーン・パーカー:ナップスターの設立者)のプレイリストにフィーチャーされたLorde(ロード)がやがてグラミー賞を受賞したようなことが日本からも生まれてるかもしれない。KOHHがFrank Ocean(フランク・オーシャン)と共演したような、最先端シーンでの交流がもっと生まれるかもしれない。そしてをそれを間近で見られる。これが世界最大のサービスの楽しさだ。日本でユーザーが増えれば洋楽シーンの盛り上がりにも貢献できるだろう。
How Spotify Made Lorde A Pop Superstar | Forbes
もちろんこれまでも日本のアーティストの楽曲は、海外版Spotifyで配信されてきた。例えば、Perfumeの楽曲はUS版のSpotifyに存在している。しかし現状、日本からPerfumeが世界でどれくらい聴かれ、ピックアップされているのかは分からない。インターネットで国境がなくなったように見えても、国は国としてあるし、そこにはそれぞれの人と文化がある。だから、国によって戦術を変えていくのは正しい。ただ少し寂しい。
また、キュレーターにピックアップされなければ、Spotifyにあっても認知されないということが十分ありうる。Daft Punkの「Get Lucky」がSpotifyで1億回も再生されたのは、Daft Punkだからこそだ。そして「Get Lucky」は決してSpotifyだけで認知を獲得したわけではないのは誰でも分かる。しかし「Get Lucky」はSpotifyにあったからこそ1億回も再生された。まず楽曲を開放し、ユーザー/リスナーと同じ場所に立つことが、これからのミュージシャンの活動を組み立てるスタートになるだろう。Spotifyはユーザー/リスナーに音楽を届けるための手段であり、目的ではない。プレイヤーが出揃ったことで、ミュージシャンの活動についての議論も前進が見られるはずだ。
Spotifyは、PCではWindowsとMac、スマートフォンではiOSとAndroid、そしてPlayStation 3、PlayStation 4に提供されている。現時点では招待制となっておりすぐに利用することはできないが、招待コードは誰でもウェブサイトから申請できる。
なにはともあれ。こんにちは、Spotify。ようこそ日本へ。
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