今日のBGMはこれで。
リスナーとミュージシャンのためのウェブサービスの限界
そんでですね、新東京大楽【第3期】第3回でミュージシャン、クリエイターが継続的な収益・コミュニティを実現するウェブサービス「hopp」を運営されているカズワタベさんと僕とで
「音楽魂で作る、リスナーとミュージシャンのためのウェブサービス」
音楽そのものやミュージシャンへの深い愛に根ざしたハンドメイドのウェブサービスを運営する、20代のふたりが大いに語ります。再生途上の「音楽シーン」の未来を描くトークセッション。
という中々恐縮なトークセッションをすることになりました。どういった感じで着地するのか分かりませんが、正直にぶっこんでいこうと個人的には考えています。
そんなこともあり、改めて音楽サービスについて、ぶっちゃけあんまりポジティブには…って感じですよね。今年はSpotifyとRdioが日本上陸かもとか、Spotifyが日本で求人開始とか、レコチョクがサブスクリプションサービススタートとか、DeNAが音楽サービスに参入とか、エイベックスとソフトバンクのサブスクリプションサービス開始とか…まぁ香ばしい話題が続いていますけどね。本当に使う人いるのかな。
音楽サービスと一口に言ってもいくつか種類があります。最近はその境界があいまいですが、一応ざっくり、
①コミュニケーション型
②配信型
③アーティスト利用型
に分けられるのかなと思います。
近年ソーシャルメディア的なコミュニケーション機能はどのサービスにも取り入れられ、ポピュラーというより常識?になっていて①と②の境界ははっきりしていないように見えますが、メインの機能を考えるとこのように分けることができると思います。ってことでいくつかのサービスを分類してみます。
①コミュニケーション型
例えば、ワタビー先輩のhopp(厳密には音楽サービスではないが、ここでは音楽にフォーカスして扱う)、今僕らが作っている音楽SNS的なもの、楽曲コラボレーションアプリnana、ファンクラブと作れるFrekul、似たような感じでReverbNation、聴いている楽曲をシェアするSoundTracking、YouTube動画でプレイリストを共有するBeatrobo。リニューアルしたMySpaceもこちらにしておこう。turnetable.fmもこっちかな…ううわからん。
②配信型
SoundCould、YouTube、Bandcamp。さんざんおじさんたちが議論しているサブスクリプションのストリーミングサービスSpotify、Rdio、Deezerといった有名ドコロ、音楽クラスタにオススメなDrip.fmファンととレコード会社が直接つながるサービスで月額料金を支払うとレコード会社からいろいろ送られてきます。色々どうなの…と思うSony Music Unlimited、レコチョクがやっているあれやこれや、台湾のKKBOX…挙げたらキリがないですね。まぁこの辺はJay Kogami氏のブログに詳しいのでそちらをチェックしたら良いよ。
あとはラジオ系。Pandora、Jango、block.fm、Last.fm、Thefuture.fmとかとか。個人的にオススメなのがb@TV。DJプレイがガッツリ耳と目で楽しめます。ただ重いです。
ちょっと違う気もするけどどんな曲もダブステップにしてしまうThe Wub Machine、プレイリスト共有の8tracks、似たような感じでSOUNDROP、いまいち何なのかようわからんexfm。グレーなGrooveshark。いろいろマッシュアップしちゃうぜなFeaturin.gs。
③アーティスト利用型
これはもう完全にアーティストがマーケティングや販売の為に使うツールですね。iTunesやAmazonで音源を配信できるtunecore、ダウンロードカードを作れる…なんか…うん…って感じのFizzKicks、アーティストが自分でライヴを有料中継し、収益を得れるとか何とかのStageit、ソーシャルメディアマーケティングのプラットフォームJamplify、リアルタイムで自分の曲がどこでかかっているか教えてくれるKollector。実際のところ、Frekul、hopp、ReverbNation、Bandcampあたりはこっちでしょうかね。
あれ、これ別に分類しなくても良かった気がしますね。分けようとすると分からなくなってくる…。あとは上記に当てはまらないもので、自分の音楽マガジンを作れるSongbird、同じくMyMusicとかね。iPadでギター弾けるとか、そういうのはもう知らん。スマートフォンに楽曲を聴かせるとそれが何か教えてくれるShazam、SoundHound(こちらは鼻歌でもイケる)とかね。全然3つじゃねぇし…。
最初の問題点は「どうやって使ってもらうか」
以前書いた音楽SNSって音楽に特化してるからつまらないんじゃね?の続きというか整理というか、改めて考察したいと思います。完全に感情論です。印象です。やっぱ人間って感情だから…。ここからは日本の話です。
そのサービスをどうやって使ってもらうか、どうやって広げていくかというのは当然全ての製品・サービスが直面する課題です。
音楽サービスの場合、中でも、Frekul、hopp、tunecore、FizzKicksなんかはそもそもアーティストが利用しないとサービスとして成り立たないわけです。で、この壁が超高い。その原因はターゲットのITリテラシーのなさ&セルフマネジメント意識のなさとサービスのマーケティング不足。煽るけど。これだけ。そのまんまだから特に説明することもない。そしてこの2つの原因は、同じ問題でもある。
ターゲットのITリテラシーのなさ&セルフマネジメント意識のなさは結構言われていることなので割愛。食べていきたいなら、本気なら、もうちょいアンテナはっていろいろ使ったりセルフプロデュースしたりするんじゃなかろうか。ソーシャルメディア運用を含むウェブ×リアルのマーケティングに関してはレコード会社も大概であるが。
サービスのマーケティングに関して言うと大きく2つあって、アーティストに使ってもらうために丁寧なアプローチをして顧客を育成していくこと、インフルエンサーに利用してもらって認知度をアップすること。これだけ。
ぶっちゃけ、その辺のアマチュアミュージシャンがTwitterで「新曲です!」「◯◯日にライブやります」って言った所でウェブの藻屑と消えるように、ウェブサービスが(ウェブサービスなのに)FacebookやTwitterで宣伝したって空振り感ハンパない。事実、「新東京大楽【第3期】第3回で登壇します!」とTwitterやFacebookに投稿したところで全然コンバージョンに結びついてなかった。こういったイベントのプロモーションも同じ問題がある。これは自分が悪い。だからこうして説明することにしたのだが効果のほどは今のところ不明。
新東京大楽【第3期】第3回のFacebookイベントを覗いてみた。どうやら、いらっしゃる方は馴染みのある方が多いように見える。それはもちろん嬉しい。喜ばしいことだが、より広く知ってもらうためにはもう一枚壁を越えなくてはならない。Facebookで友人を招待している限り、仲間内感は正直感じてしまう。ちなみにイベントのTwitterは完全に放置されていてもったいない。
サービスがメディアとして信頼されるってのも方法としてはあるけど、そもそもコンテンツなくして信頼なんてされないからやっぱり使ってもらうのが先。で、その使って貰いたい人はどこにいるのか、どうやって営業したら良いか考えないといけない。
地道だが丁寧に声をかけていくのが一番。結局ね。もちろんインフルエンサーに宣伝してもらえらば手っ取り早い。ソーシャルメディアすげーみたいな話はもうさすがに聞こえてこないが、ソーシャルメディアでのバズは結局インフルエンサーが紹介してから起きるケースがほとんど。あるいは余程ネタとして上質で、単発に終わるか。知られなければ世の中に存在していないのと同じ。どうやって知ってもらうか、どうやって使ってもらうか、という問題は正直これが具体策や!っていうのはない。いろんなアプローチを試して、顧客を教育していかないといけない。今がちょうど草分け的な時期なんだと思う。知らんけど。
アーティストがいなくても成り立つサービスもアーティストが使ってくれるとアクティブになる。あと最近ソーシャル機能はデフォルトになってるけど、その部分がなくてもサービスが成り立つようにしないと使わない。でも何やっても既存の音楽好きしか集まらない。ただ集めてもソーシャル以外の機能やアーティストがそこにいなくても成り立たないとアクティブに使わない。
業界全体の問題
アーティストがコンテンツを提供するタイプではないコミュニケーション型も、実は同じ。音楽コミュニケーションをアクティブに行うモチベーションなんていくら音楽好きでもそんなにない。音楽コミュニケーションが活溌になるときってのは何らかの議題設定があったとき。新譜リリースとかツアー開始とかファンと交流会とかね。LiveRingは…まぁ音楽SNSってことにしちゃうけど、リスナーやファンの為に、アーティストにも使って欲しいのよ。そうやってもっと音楽を語って欲しいのよ。でもさ、って話よ。アーティストやレーベルに使ってもらっとしてもバランス感が大事で、あくまでもユーザーの1人として扱うこと。SNSであんまりプッシュすると超ウザい。これをやったのが以前のMySpace。新しいMySpaceは最高にカッコイイけど、いまさらSNSでやることないんだよね。SNS作っておいて言うけども。
Spotifyがどうとかって話もあたかも使ってもらえるのかのような話しとるけども、そもそもストリーミングサービスを何で使うの?どうやって利用してもらうの?っての考えないと。音楽好き以外は使わないんだから。絶対。で音楽好き、音楽に金を払うくらい音楽好きって人は減ってきてるよね。
ここまで書いた問題はそれぞれの問題ではなくて、業界全体の問題。とりあえず音楽業界っていう謎のくくりにしちゃうけど。業界がどう思ってるのか知らんけど。ってか音楽業界ってどこからどこやねん。
小学5年女子の語る「音楽にお金を払わない理由」ってな感じの記事がバズりましたよね。音楽にお金を使うということが良いか悪いかトレンドかそうでないかは置いておいて、サービスを展開するのであれば、顧客を作らなきゃならない。っていうかサービスの話だけではなく、音楽市場をどうやって作っていくか、これからを生き抜くかという問題でもある。音楽で飯を食べてる人は死んじゃうじゃん。
一緒になって考えて行動しないといけないフェーズになってると思う。これは音楽に関わる人間の問題意識としてないといけないと思うよ。潰れるのは勝手だけど。グランドデザインが欲しいよね。日本において新しい音楽市場を作っていく、音楽に意識を向けてもらう。今は土壌づくり。一番つらい時期。たぶんね。hopp頑張ってくれ。
っていう感じで、しばらく感情的に煽ってみようと思ってる。みんな思ってることあるはずだから、どんどん発信したら良いよ。
参考記事
≫Spotify and Rdio Expected to Launch in Japan in Coming Months (Report)
≫レコチョク、J-POPを中心とした月額980円の定額制聴き放題サービス3月スタート
≫DeNAがスマホ向け音楽サービス「Groovy」展開へ–新ロゴも披露
≫映画や音楽ビデオを月額490円で見放題 エイベックスとソフトバンクの「UULA」始動
≫音楽の価値とは??
≫音楽の価値とは?? の続き??
≫連載:コンテンツ立国の処方箋 音楽配信サービスの進化とアーティストの苦境
≫Spotifyが日本で求人開始
≫韓国の悪いところを指摘するよりも日本は音楽開国しアジア音楽共同体を作るべき ――☆Taku Takahashi氏(m-flo)インタビュー【前編】
≫面白い音楽を作れていないのは音楽家とレコード業界の連帯責任だ業界の仕組みがバブル時代のまま――☆Taku Takahashi氏(m-flo)インタビュー【後編】
≫僕が音楽雑誌を読まなくなった理由
≫SNS経由で告知するということ
≫SNS経由で告知するということ(2)
≫読むTED ケヴィン・アロッカ 「バイラルビデオが生まれるメカニズム」
≫読むTED アダム・サドウスキー: ヴァイラルミュージックビデオの作り方
≫「音楽シーンの現状をきちんと見て未来を考えていくために、今なにをすべきか」オープンカンファレンス「YOAKE」実行委員 座談会
≫ソーシャルメディアを通して音楽を愛する人を増やしたい 〜『音楽の明日を鳴らす』著者 高野修平 氏 インタビュー
≫連載第28回 なぜ日本にはPandoraのようなネット放送が生まれないのか
≫連載第29回 なぜレコード産業はインターネット放送を潰そうとしたのか
≫スマホでライブを“お持ち帰り” 音楽不況で「付加価値」に活路
新東京大楽【第3期】第3回
そんなこんなで2月21日の新東京大楽【第3期】第3回ではこんな感じの話をするんじゃないかな。詳細は以下です。
新東京大楽【第3期】第3回 2月21日18:30〜21:30
【1時限目】
「今どきの原盤制作」
DTM/DAW環境が浸透し、音源制作において“プロ”と“アマチュア”の境界線が少なくなってきているといわれて久しい今日この頃・・・レコード・レーベルではいったいどんな考えで原盤制作を行っているのか、気になりませんか?最高の音源を制作すべく、最前線で日々奮闘する原盤制作ディレクターをお招きしてお話を伺います。音楽業界で仕事をしたい学生さんや、メジャーデビューを目指すミュージシャンはもちろん、インディーズで活動する皆さんも必聴!
・ナビゲーター
古野間恒平(このまこうへい)氏
エイベックス・ミュージック・パブリッシング株式会社 総務課主任 兼 著作権部管理課
ゲスト・パネラー:梶田茂(かじた しげる)氏
エイベックス・エンタテインメント株式会社 スタジオ管理部 原盤制作ルーム担当課長
大阪のスタジオでレコーディング・エンジニアとしてキャリアをスタート。2000年に上京し、エイベックス・グループに入社後は作家マネジメントやディレクター業務を経て、現在は原盤ディレクターとして活躍中。これまでにmihimaru GT、倖田來未、AZU、ケツメイシ、THE SECOND from EXILEなどを歴任。
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【2時限目】
愛と連帯 #03「音楽魂で作る、リスナーとミュージシャンのためのウェブサービス」
音楽そのものやミュージシャンへの深い愛に根ざしたハンドメイドのウェブサービスを運営する、20代のふたりが大いに語ります。再生途上の「音楽シーン」の未来を描くトークセッション。
・ナビゲーター: 永田純氏
(一般社団法人ミュージック・クリエイターズ・エージェント代表理事)
近著「次世代ミュージシャンのためのセルフマネージメント・バイブル」も好評
http://www.amazon.co.jp/dp/4845620243
ゲスト・パネラー: 大山裕之氏、カズワタベ氏
◎ 大山裕之(おおやま ひろゆき)氏 ウェブデザイナー/ マーケター
音楽ファン、リスナーの視点からライブにフォーカスした音楽コミュニケーションサー
ビスを製作中。また、音楽に出会う場、音楽を語る場を作るため、音楽ブログを集約し再発信するウェブマガジンを制作、運営している。
◎ カズワタベ氏
洗足学園音楽大学総合音楽科卒業。在学中よりクラブジャズバンドのリーダー/ギタリ
ストとして活動。2010年にバンド活動の休止と同時にGrow! Inc.を設立し、取締
役Chief Creative Officerに就任。ミュージシャン、クリエイターが継続的な収益・
コミュニティを実現するウェブサービス「Grow!」の開発・運営を行う。その後、同社
から独立し、13年2月にサービス名をGrow!から「hopp」に変更して運営を継続中。
お申し込みは→https://tixee.tv/event/detail/eventId/868
Facebookイベント→https://www.facebook.com/events/189380524537987/
よろぴく。突然蒸発したエンジニアの方、生存しているのでしょうか。普通に心配です。頑張って作ります。
そういやこれ↓100円で読めますよ。たいした内容ないけどね。
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