Reading Fes、Battfest、Rock’n’Heim、Pukkelpop Fes、Bloodstock Fes、80’s Rewind Fes…etc。8月もたくさんのフェス配信がありましたね。まずは前回のフィードバックからご紹介。
日本もソーシャルメディアでフェスの魅力をどんどん発信して欲しい。 >> コンサート擬似体験の未来へ | Come-In Come-Out http://t.co/QNzg8B8LTT
— Yukihiro Takaoka (@yukihirotakaoka) August 13, 2013
近くであるLive等だと配信するなら行かないで家で見ることはあるかもしれないけど、フェスは行く人は行くので、話題性や知名度UPを考えてもどんどん配信してシェアされた方がいいかもと思う。 コンサート擬似体験の未来へ http://t.co/tr9hzQ5GiA
— Mahler (@DJ_Mahler) August 13, 2013
ライブがどんどん進化している様子がわかる。こちらの方がきっと儲かるんだろうな。/コンサート擬似体験の未来へ | Come-In Come-Out http://t.co/Xlhxcg0ACL
— Miyahide (@heroicjack) August 13, 2013
YouTubeでNINとバンプのステージが生配信された話。コンサートの生中継×ソーシャルメディアの展開は今後当たり前になっていくだろうし、そのことで現場への動員は減るどころか増えていくと思う。 / “コンサート擬似体験の未来へ |…” http://t.co/0mwfZ4acea
— 柴那典 (@shiba710) August 14, 2013
日本ではまだまだアーティストや運営側に配信への理解がないですね。そこをどう突破するか。RT @shiba710: コンサートの生中継×ソーシャルメディアの展開は今後当たり前になっていくだろうし、そのことで現場への動員は増えていくと思う。http://t.co/Rop1Uev5BR
— 池上尚志 (@takashi_ikegami) August 14, 2013
知名度がないインディーズバンドこそ、簡易的でもやって少しでも多くの人に広める努力をした方がいい。もちろんそこにライブハウスも協力して箱自体のファン獲得を目指さなきゃ。/コンサート擬似体験の未来へ | Come-In Come-Out http://t.co/SEzpp54gTs
— Yosuke Sakurai (@poolside39) August 14, 2013
生配信については概ね皆様好意的に捉えていらっしゃるようです。ライブの生配信というのはソーシャルメディア、特にリアルタイム性の高いTwitterなんかは非常に相性が良いですね。このへんはスマートテレビ等、テレビとソーシャルメディアに関する議論が大いに参考になると思われます。(しかしこの手の話はライブを行うアーティストが実際はどう思っているのか、という話はなかなかでてきませんね。)
ウォルター・リップマンというアメリカのジャーナリストがいます。いた。もう死んだ。その人は「擬似環境」という言葉を作りました。「擬似環境」というのは現実環境をマスメディアのフィルターを通し、思考で形成された環境のことを示しています。
詳しくは以下(Wikipediaなんだけど)。もっと詳しく知りたい人は『世論』を読んでみてください。
人間の認識は現実環境を反映しながら思考で形成した擬似環境が存在することを論じている。擬似環境を参照しながら人間は自らの行動を形成するものであり、行動の結果は現実環境に影響する。つまり人間は現実環境、擬似環境、行動の三角形の中で活動するのである。リップマンはさらにこの三角関係を方向付ける固定観念の存在も指摘しており、これをステレオタイプと呼んだ。ステレオタイプは現実環境から擬似環境を形成する時に事実を恣意的に選別することになる。リップマンはこのような問題を克服するためには、隠れた事実を表面化させて相互に関連付け、行動するために必要な現実的な擬似環境を構築する機能が必要だと考えていた。この機能をリップマンは真理の機能と強調しており、真理の機能は出来事が生じたことを知らせる合図であるニュースと補完しあう。
出典:Wikipedia
この引用の仕方が正しいのか全く分からないけども、つまり「思っていることと実際は違うよ」と。そりゃまぁそうだ。
これを無理やりフェスティバルに当てはめますと、コーチェラやグラストンベリーに代表される海外フェスティバルのライブストリーミング配信とファンの熱量を可視化する盛んなソーシャルメディア運用というのは「現実環境と擬似環境のギャップを埋める」行為なんじゃないかと思っている。つまりリップマンが述べている「行動するために必要な現実的な擬似環境を構築」しているのではないのかと。(実際“現実的”なのかどうかは知らん。リップマンの言う行動が何を示しているのかは知らん。)現実をソーシャルメディアや生配信によってオンラインで表現しようとしている。そしてそれがフェスティバルのブランド育成や出演アーティストのファンを増やすのに有効な手法なのではないかと。じゃあ具体的にどうやって運用すればファンを増やし、動員できるのか。そして費用対効果は?という現実的な話になってくると思います。
ネガティブな方向に行くとしたら菊地成孔氏が述べている「ゼロ円ファン」が生まれるということ。これはしょうがないとも言えるし、これをポジティブに捉える人もいると思う。
上に書いた通り僕はこの日スクリレックスを選んだので、NINは観てません。でも沢山の人が今年のフジのベストアクトに上げていたし、今回のNINのライヴは2013年のフジを象徴するアクトのうちの一つだったと思う。フジロックでは初となる「YouTubeでリアルタイム生配信」が実現したことも革新的だった。
ちなみに、現地で「今日のライヴYouTubeで観れるらしいよ」と話題にしたら、何人かの人に「え? YouTubeで観れるんじゃ、お客さん、わざわざ苗場まで来なくなっちゃうじゃん」と言われた。僕は、まったく逆だと思う。ソーシャルメディア上で簡単にコンテンツを共有できるようになればなるほど、「現場」の持つ力が上がるのだ。
というか、すでに海外ではそういう結果が出ている。コーチェラ・フェスティバルは2011年から3日間のステージをYouTubeでウェブキャストしている。そのことでお客さんが減ったか?というと、結果はまったく逆。2012年からは2週間同じラインナップが並ぶ3日間×2の計6日間のフェスに規模を拡大し、それでもチケットは即完売。もちろんチケットの人気はブッキングの良さっていうのもあるとは思うけれど、「日帰りで帰れない場所での開催&ステージの生配信」という施策が確実にフェスのブランド力を上げている側面はあると思う。
是非フジも乗り出してほしいと思う。
出展:日々の音色とことば:
今年からグラストンバリーもライヴのユーストリーム放送を開始したが、はっきり言って、そんなものを観てもグラストンバリーのことは何ひとつわからないだろう。あそこに行かないとわからない、グラストンバリーにしかない「何か」が確実にあるのだ。そして、その「何か」が人を大きく成長させると僕は思う。今では、グラストンバリーの魅力に取りつかれ、毎年のように足を運ぶ人の気持ちがわかる気がする。禁断の果実を食べたアダムとイブのように、グラストンバリー・フェスティバルを体験した人は、これほどまでに楽しい場所がこの世の中にあることを知っている。このエデンの園を知っているのに、そこに行かないなんて選択は決してできないだろう。
出展:SMASHING MAG
もちろん本当の楽しさは行かなければ分からないだろう。だけど、これは個人的な考えだけど、ベッドルームでフェスティバルしたっていいじゃないか。
ということでまぁ何が良いんでしょうかね(質問)。もちろん音楽ファンにとって生配信は嬉しいはず。行けなくても楽しめるし、見た人もまた見たいと思う。重要な音楽との接点の一つだと思う。誰がどこを向くのかという話。
続く。
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