エイベックス、サムスン口説く 野望は「配信で世界へ」 | 日本経済新聞
エイベックス・グループ・ホールディングスが10月16日、韓国サムスン電子とスマートフォン向け音楽配信でパートナーシップを組むことを発表(コメント欄こわい)。1998年をピークに減少傾向が続く音楽ソフトの製作・販売といった既存の収益構造からの脱却を進めているようです。
エイベックスがサムスン向けに開発したのは「GAmusic」という名称のサブスクリプションサービス。料金は月額350円で聴き放題。邦楽洋楽問わず、他のレコード会社からも楽曲を広く集めています。中身は好みの楽曲を解析するという、言わばPandoraクローン。国内ではFaRaoやLIFE’s radioといった同様のサービスがあるがどうして作った状態なのでエイベックスには期待したいです。サムスンの端末を使う日は当面来ないと思いますが。
もともとエイベックスは革新的で柔軟なレコード会社のひとつ。2009年方ドコモ(BeeTV/dビデオ)、2012年からソフトバンク(Uula)と組み独自のプラットフォームで収益化することに成功しています。また週間ダイヤモンドに掲載された松浦勝人社長、竹内成和CFOのインタビューでは以下のように語っており、早くから新しいビジネスモデルの構築を図っていたことが分かりますね。
――業界には、CD市場の落ち込みがいつか止まるとの見方もありましたね。
止まらないですよ。だって単純に「音楽のストリーミング配信のほうが便利じゃん」と自分が思いましたから。ソフトバンクの孫正義社長も昔言っていましたが、とにかく音楽はスマートフォンには最適なコンテンツだと。音楽はデータも軽くて持ち運ぶのも便利だし、映像など他のコンテンツと併せて使用することも容易にできます。
――CD市場が落ち込むと感じたのはいつごろでしたか。
売り上げが減ると感じたのは実は1996年ぐらいです。98年に浜崎あゆみがデビューしたのですが、そのときにはCDはますます売れなくなると思っていました。その前のEvery Little Thingのデビューのとき(96年)でもそう思っていた。事実、彼女たちのアルバムでミリオンセラーは1作ですから。その2~3年前の小室哲哉さんの時代がCDのピークですよね。
その5年後あたりから、CDを買うことがオシャレというイメージが大きく変わり、それまでは大型商業施設の1階とかに必ずあったCDショップも減り始めました。インターネットを通してデータでどんどんダウンロードするのが主流になったからです。
出典:「浜崎の頃にはCDなくなると思っていた」 松浦勝人社長が激白!“脱音楽”の核心 エイベックスはなぜ変わったか【前編】
――ですが、CDは配信とくらべても利益率が圧倒的に高いので、皆さん守りたいわけですよね。
確かに、CDは原価構造的にはいい。ですが、市場に流通する絶対量が減ってきて、1作品の売り上げが減れば、コストの効率は落ちます。原価率が上がり、1つの原盤から回収できる平均枚数が減れば、当たり前のように効率が落ちて、粗利も落ちます。
ですから未来永劫、市場が今より10分の1になっても、「粗利が50%!」みたいなことはありえない。どのビジネスでもそうですよね。先を見通したときに、それでもいいのか。なので、まだ大丈夫なときに次の手を打っていく、のが非常に大事。新たなビジネスを創造するのに、本当にダメになってから、次にがんばっても、泥縄式になって成功がおぼつかないわけです。我々は、CD、配信の未来を描いたときに、このままではつらいと考えました。
――音楽事業に、ある意味での見切りをつけたのですね。
一点補足したいのが、「音楽がダメ」というのは、それもまた違っていて、例えば、国内でもライブ演奏権収入はずっと上昇しています。レコード会社が苦しいのは「音楽原盤制作」というメカニカルしかやっていないから。日本でも「日本音楽著作権協会(JASRAC)」の収入は落ちていないわけで、あれと同じことを我々がもしやれればいいわけです。
出典:「音楽をやめるわけではありません!」 元ソニーのキーマン・竹内成和CFOが語る エイベックスはなぜ変わったか【後編】
2013年3月期の決算では売上高は前期比177億円(15%)増の1387億円、営業利益は前期比17億円(14%)増の140億円と、同社の歴史の中で過去最高を更新。2013年4~6月期決算でも売上高、営業利益ともに四半期ベースで過去最高を記録。そのうち音楽事業は1/4ほどなのだとか。また今回のパートナーシップを足がかりにアジアを中心として世界展開を考えているようなので、むしろそっちのほうが楽しみですね。頑張って。
一方のサムスンはどうでしょう。ライバル?のAppleはApp StoreやiTunes Storeといった巨大なプラットフォームで膨大な量のコンテンツを扱い、顧客を囲い込んでいます。日本経済新聞の記事には以下のように書いてありました。
一方、激烈な端末開発競争を繰り広げるサムスンにとって、米アップルらに伍(ご)するために何よりほしいのがコンテンツ。アップルは音楽・動画配信の「iTunesストア」やアプリ配信「アップストア」を自ら提供することで独特の生態系を作り上げ、顧客を囲い込む。これまでの端末機能開発競争が一段落した今、強力な生態系つくるためにはコンテンツ配信のエキスパートを陣営に引き込まねばならない。安定した運営実績に加え顧客をひき付けるだけのコンテンツを豊富に調達できるエイベックスは、もってこいのパートナーだった。
配信基盤のさらなる拡大を目指したいエイベックスとサムソン。両社の思惑が一致したことでパートナーシップが実現した。
出典:日本経済新聞
コンテンツが欲しいとのことですが…サムスンは昨年Galaxy S IIIの発売に合わせて、独自の音楽サービス「Music Hub」を開始しています。
Music Hubは、クラウドにアップロードした音楽や1900万曲のカタログから購入した音楽、様々なジャンルのラジオ番組をスマートフォン・タブレット・PC・スマートTVなど楽しめるサービスです。クラウドにアップした曲をスマートフォンやウェブブラウザで聴取できる機能はサムスンが買収したmSpotの技術で開発されているみたいです。Musix Hubは当初ヨーロッパの数カ国で開始されましたが、その後は全く追っていないので現状は知りません。とりあえずこのサービスは日本で展開できる気が全くしませんね。
またサムスンはテレビ向け音楽配信でDeezer、Spotifyと契約しています。ということでコンテンツ持ってるじゃん感もあるわけですが、それぞれローカルはローカルで強いところを組んでやっていくんでしょね。DeezerとSpotifyはサムスンのコンテンツではないので…。
ということで特に結論はないです。
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