ロックフェスティバルのTwitter利用を考える というタイトルですが、いきなり脱線します。Twitter利用については後半に記述してありますので、飛ばしていただいて構いません…嘘です…読んで…。

今一度音楽産業とは何であったのか、音楽とは何か、現状と未来を再考してみたい。さんざん議論されたテーマであり、改めて僕が書く必要もないのだが、自分の知識の整理のためにしばらく連載してみようと思う。

などと前回のエントリー「伝承しようのない音楽コンテンツをすくいあげろ! 」の冒頭に書きました。

最近、佐々木俊尚氏の新著『当事者の時代』を読み、アル・ジョルソン(1886-1950)という人を知りました。恥ずかしながら全く知りませんでした。

アル・ジョルソンはアメリカを代表するエンターテイナー。歌手であり、俳優であり、音楽カルチャーに多大な影響を与えた人物です。しかし今日、その功績は完全に無視され、全く語られることがない。というのも彼の「白人でありながら黒塗りをして黒人を演じる」というパフォーマンススタイルが人種差別を想起させ、なかなか触れ辛いものだからです。といっても彼は人種差別主義者ではなく、むしろ差別に対して非常に否定的だったそう。

みずからの本拠地ブロードウェーでは黒人が舞台に立つことがタブーとなっていたが、彼は黒人の脚本家の作品を起用し、登場人物がすべて黒人という異例のキャスティングの舞台を初めて実現してしまう。また黒人のダンスチームを買収し、ブロードウェーのショーに登場させたこともあった。あるときには、特段知り合いでもない黒人作曲家二人がコネチカット州のレストランで入店を拒否されたという話を新聞記事で読み、彼らを探しだして高級レストランのディナーに連れだしたこともある。そして「俺たちを追い出す店があったら鼻に一発お見舞いしてやるぜ」と息巻いた。

出展:佐々木俊尚『「当事者」の時代』p370-371)

彼は黒人音楽を白人社会に紹介し、のちのソウルやロックンロールなど音楽カルチャーに大きく貢献しました。きっと本物の音楽を知っている人だったのでしょう。

参考
アル・ジョルソン-Wikipedia
アル・ジョルソン

日本の文化は高度経済成長でアメリカナイズされてきました。音楽も例外ではなく、アメリカナイズしたポップスや洋楽も目立つようになりました(敗戦国の日本は、アメリカという理想を突き付けられ、妄信的に自由を求めたわけですが、理想に追いついてしまった今、迷走している段階。今の日本に必要なのは目標になる理想の日本像だと思う)。

日本は発明よりも成熟させることが得意であり、電化製品と同じように、音楽もまた独自の道を進んでいく。・・・のかと思いきや、今の音楽シーンを見ると、これって日本独自、つまりガラパゴス化した音なのかな?っていうのは素人には分からないわけです。ただ、ガラパゴス化したパターンみたいなものは感じることがあります。それは今のオリコンチャート見ての単純な感想ですが、新しい音楽パターンを生み出し輸出するのは、世界でハブられてきた電化製品と同じように、難しいのでしょうか。なんて言うと怒られそうです。でも初音ミクの事例はかなり面白いですよね、海外でも取り上げられており、ファンもいる。

そもそも新しい音楽って一体何なんでしょうか。音のパターンというか、ジャンルというか、そういう作り方というのはもう出尽くしたのではないかなんて、つまらないことを言いそうになるのですが、どうなんでしょ?・・・っていうのは本当はどうでも良くて、表現したい気持ちなり情報を、音に乗せるというのが音楽であって、ジャンルとかパターンとかそんなものは本質の問題ではないように思います。

現在でも日本の音楽文化はその多くが、アメリカの音楽カルチャーに影響されており、音楽そのもののルーツを探ることで、”音楽とは何か”を見つけることができると思うのです。恐らく最終的には、平安時代の雅楽とか、中国や朝鮮半島、さらにイスラム圏から古代ローマとかキリがないのですが、行けるところまで簡単に遡ってみようかと思います。

ってなわけで、まずは大和田俊之氏の『アメリカの音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで』でも読んでみようかなと思うのです。未来を探るために、現状を分析するには過去を知らなければ何も語れないので。


で、そろそろメインに。ロックフェスティバルのTwitter利用を勝手に考えました。想定したのは国内の4大フェスである、Fuji Rock FestivalRock In Japan FesSummer SonicRising Sun Rock Festival。そもそも何故いきなりTwitter利用なのかと言うと、以下のような記事を見てしまったからです。

「世界一」に選ばれたスウェーデン政府観光局のツイッターPRがスゴイ

スウェーデン政府観光局が、国の公式アカウントを7日間無料で国民に貸し出してしまうというかなりぶっ飛んだPR方法で、実際に炎上させるようなユーザーも出てきちゃってるのですが、

「スウェーデンというブランドの所有者は、国民であり、それ以外の何者でもない。今回のキャンペーンで、各自がそれぞれのスウェーデンを世界に示してくれればと思う」

ということらしく、

〜略〜 
@Swedenのフォロワー数は8000人から6万7000人に増加。リツイートや返信などフォロワーによる反応率は28%から553%に向上した。

なのでまぁオッケーなのだろう。で、これロックフェスでもやってしまえ、というのは単純な発想だろうか。フェス開催期間、来場者にアカウントを貸し出してしまう。信頼出来るユーザーを審査して選び、フェスのオフィシャルサポーターにしてしまう。一人ではなく、複数人で管理できるようにしてユーザーにアカウントを貸し出す。理由は情報を差別化するためであり、4大フェスという大型イベントになると楽しみ方は人の数だけあるからだ。

別にリツイートでいろいろな声を届けるのでも良いのだが、全然新しくないし、面白みもないので。ユーザー参加型の貸し出しアカウントで考えてみる。

まずアカウント管理者を選定する。まず運営の人。そりゃそうだ。

そしてTwitterの一般ユーザーで①ベテランのフェス参加者と、②初参加者を選ぶ。何人が良いだろうか。2人か4人か、まぁ適当でいいや、とにかくそれぞれユーザーを選ぶ。

さらに、現地のスタッフをユーザーにしてしまう。例えば、物販・屋台の店員たちに加えてバックステージのバンドスタッフ達。さらに出演者。これは、いくらいても良い。

ユーザーの選定は終わった。では運用を考える。
フェス開催期間、Twitterで何を知りたいだろう?(会場で3G回線に繋がらないというのは今は置いておいて。)
あまりフェス公式アカウントは見ないだろう。見る必要がないのだ。見てもらうためにはどうしたら良いか。現地にいたとして、欲しい情報は何か。

①ベテランのフェス参加者、②初参加者ともに知りたいのは、まず天気予報だろう。
とくにフジロックは天気が変わりやすい。他のフェスでも激しい夕立で一部中止なんてこともあった。これは天候の変わりやすい状態に限るが、必要な情報だ。天気予報に関しては従来通り、公式の中の人がやったらいいし、リツイートしても良い。

もちろん今回のTwitter利用の提案はアカウントがフォロー返しをしていることが前提にある。

次に物販の状況。これは物販のスタッフに任せよう。物販の状況で知りたいのは在庫・待ち時間だ。例えば「〇〇のTシャツがあと2枚!急いで!今5分待ち!」とかね。

それから、物販に似ているが、飲食店の状況も必要な情報のひとつだ。どれが人気か、どのくらい待つのか。フェス期間、どの時間帯が一番お客さんが多いのか分析しておこう。少ない時間帯に合わせてツイートしていく(ってかまあ基本、常にお腹へってるけど)。

もちろん写真付きで、唾液ドカーンな感じでね。もしお店の中の人がTwitterをやっているのなら、その個人アカウントでのつぶやきをリツイートしても良いね。

ライブ情報。これはフェス参加者にとっても、不参加者にとっても有益なメインコンテンツだ。最高のライブを最高の言葉と写真で届けよう。「ああ、なんてこった!なぜあのバンドを見なかったんだファック!次は必ず!」「なんだって!そんなに最高なステージなのか!今すぐ行こう!うんこしてる場合じゃあねぇ!」と思わせよう。

運営はバンドスタッフ達に「今準備中だ。もうすぐ会えるぜ」と写真付きでツイートさせる。その出演者のファンは最高にテンションが上がる。そして不参加者もライブを擬似体験する。

もちろんこれはアーティストの写真撮影可能が大前提にある。写真なくしてライブ感なし。生中継でライブを配信できればもっと最高だ。ライブが終わったら、再び運営の出番だ。iPhoneを持ってバックステージに直行。アーティストに呟いてもらおう。「最高のギグだったぜ!」と言わせよう。アーティストに呟いてもらったら今度はセットリストいただこう。セットリストは思い出を補完してくれる。さくっとツイートだ!

こんなところだろうか。さて、なぜ①ベテランのフェス参加者②初参加者を選んだのか。

第一にベテランのフェス参加者は楽しみ方の極意を良く知っているということだ。彼らしか知らないコアな楽しみ方もある。それに彼らはどんな質問にも答えてくれるだろう。アカウントの中の人に注目することで、新しい楽しみ方を見つけることができる。

一方、初参加者はそのフェス体験そのものがPRになる。不安を感じながらも、フェスに参加し、だんだんと馴染み、思いっきり楽しむ。そのストーリーを見せて欲しい。フェスの参加者を育て、その楽しみをどんどん伝えていく。フェスはフェスの魅力がある、フェスそのものに顧客を付けるのだ。顧客を育てよう。

なーんてネタっぽく書いてますけど。結構まじ。リツイートじゃなくて、もう30人くらいで1つのアカウントを使うっていうのが面白いところ(たぶん)。話題性もあるし。いろいろと障害もあるだろうけどね。Facebookのスマートフォンアプリはどうしようもないし、開催期間の利用ならTwitterが最適。

あ、そうだ、ステージのサイドスクリーンに「#〇〇でグッズ抽選!その場で当たる!」とかやってスクリーンにアカウント名表示するとかさ。サイドスクリーンもっと面白い使い方できると思う。サイドスクリーンでもっと遊ぼうぜ。

今回はTwitterだけで考えたけど、それぞれのメディアの特性を活かしてミックスすれば、もっともっと楽しくフェスを伝えることができるし、参加してもらえると思うんだ。日本のフェスってすごく値段高いからさ、値段以上の楽しみを届けたいじゃん?

まぁいろいろと権利があるんでしょうけどね!

なんか日本語おかしいっぽいですけど、気にしないでください。

みんなフジロックで会おう。・・・の前にこれ→7/23『sensor ~ it&music community』powered by happydragon Vol.4 『ソーシャル・ミュージック会談 ~ 次世代音楽のビジネスモデルについて本気で考えるの巻』行きます。

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