元はてな・GREEのプログラマ 伊藤直也が語る、ソーシャルメディアの功罪。[前編]
元はてな・GREEのプログラマ 伊藤直也が語る、ソーシャルメディアの功罪。[前編]

 

うーむ。端的に言えば、コミュニケーションツールとしては過去最高レベルだけど「バカと暇人」が増えてもうめちゃくちゃ、っつーことでしょうか。昔はいつだって良いものだわな。

 

マーケティングの話にしてみよう。

「マーケティングにソーシャルメディアの利用は決して必須ではない…」

とも最近は言えないのではないだろうか。4大マスを利用すること、ウェブサイトを持つことと同じくらいのレベルにソーシャルメディア利用は当たり前になっている。だが、ソーシャルメディアがとんでもなく凄いとか、時代が変わるとか、これからはソーシャルメディアだ!なんて話を聞くとアホかと思う。それぞれのメディアに一長一短がある。それぞれの役割と文脈を理解せずに利用することはユーザーをないがしろにするようなものだ。

 

ソーシャルメディアをちゃんと利用することは非常に有意義なことだ。それは間違いない。ちゃんと利用すればの話だ。

今はたくさんのソーシャルメディアが存在している(っていうかソーシャルメディアって言ってるけどその大部分はSNSだ)。そしてどれも参加の敷居は低い。企業にとって公式アカウントを持つことは簡単だ(LINEは少々コストがかかる)。しかしその敷居の低さが本気になれない理由だろう。コストがかからないからとりあえずやっとけ!というのが本音だ。別に減るものがあるわけではないし…‥ファックオフ。そのような企業は結局ソーシャルメディア上で名前さえ覚えてもらえずに消えていく。好きの反対は無関心。そういった企業はどんどん消えてもらって構わない。アカウントの無駄だ。

 

ソーシャルメディアの利用を考える前にウェブサイトの利用を考えてみて欲しい。一体何のためにウェブサイトを作成するのか。誰のために、何のために、ウェブである必要はあるのか。企業がウェブサイトを使うのは理由があるはずだ。ソーシャルメディアを何となく使っている企業はだいたいウェブサイトも何となくだ。

理由なきマーケティングは絶対にブレる。マーケティングの一環として、ウェブサイトがプロモーションチャネルなのか、販売チャネルなのか、そもそもなぜウェブなのか、しっかりと決めよう。「Webマーケティング思考トレーニング」は分かりやすく初心者向けの書籍だが、マーケティングに慣れている人でも初心に返って、自分のWebマーケティングを見直すことができる良書だ。ちなみに私は初心者だ。

 

っていうか、ウェブサイトの利用を考える前に、まずコンセプトだ。

まずはマーケティングコンセプトを固めることから始めよう。マーケティングコンセプトは企業理念やビジョン(企業コンセプト)、市場の需要に基づくものだ。企業は何を提供でき、何を解決するのか。市場の需要というのは何もデータに限らない。消費者の本音、インサイトを取り入れることも重要だ。データには表れない、感情的な部分だ。人間は結局感情で動く。インサイトは消費者の感情を論で武装することとも言える。

 

マーケティングコンセプトが出来上がったらメディアを利用してそのマーケティングコンセプトに沿ったマーケティングを展開していこう。マーケティングの最初のステップは、まずメディア(=情報伝達を目的とした媒体)のコンテクストを知ることにある。そこはどんな話題で溢れ、何が求められ、どんな人が使い、どんな時間が流れているのか。

そこで最初の話に戻る。ソーシャルメディアだ。このオナニーブログでは何度も書いた気がするが、そもそもソーシャル(社会)とはなにか、ソーシャルメディアとは、SNSとは、というところから考えてみてはどうだろう。損はしないはずだ。「なぜ」を突き詰める訓練をしよう。使おうとしているものが何なのか客観的に捉えるのだ。そうすることで各メディアでどのようなコンテンツを発信すれば良いのか、あるいはメディアを使わなくてもよいのかが見えてくる。価値あるマーケティングをしよう。

僕の結論は「ソーシャルメディアってなんなんすかね その2」を読んでみて欲しい。どうか胡散くさいソーシャルメディアコンサルに惑わされないでくれ。奴らの言うことは誰でもできる(もしソーシャルメディアマーケティングを外注するなら、運用以外に強みのあるところが良い。つまり、データと実績があり、ソーシャルメディアに特化せず、マーケティングの一環として捉えることができる企業が望ましい)。

土台がしっかりとしていればブレることはないし、成果が見られなかった場合再構築も簡単だ。

じゃあマーケティングって一体何だろう…。

さて次回から数回に分けて「ソーシャルメディアと音楽ビジネス」について書いていきます。最近よく語られるテーマですが、なんつうか釈然としないので自分なりの解釈を。アーティストやリスナーがもっと楽しめるキッカケになれば良いなと思います。

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