イングランド、ウエスト・ミッドランズ在住のStephen Wilkinsonによるソロプロジェクト、Bibio。2013年5月5日にWarp Recordsよりリリースされたニューアルバム『Silver Wilkinson』は今年ベスト級の素晴らしいアルバムです。以前もリードシングル「A Tout A L’heure」をご紹介しましたが、イントロからなかなか天使です。暖かな柔らかい日差しがさす原っぱで永眠したいです。

Bibio自身が監督と務めたビデオは彼らしい世界観が凝縮されています。まずは是非こちらを。

トラックリストは常に曲が加えられたり、外されたりするものだけど、「You」はずっと残って最終的に最も古い曲の1つになったし、僕自身ずっと聴いていて飽きなかった。それにこのトラックはライヴ・サウンド中心の今回のアルバムの中で、唯一のサンプリング・ベースの曲だから、そういう意味でも目立つ曲だと思う。

出典:skream!

と本人が語っている6曲目「You」はダイナミックでヒッピホップよりのサウンドになっています。

収録曲の多くは、スタジオで取りかかり、スタジオで完成させているけど、プロセスと結果に新鮮さを求めて機材を外に持ち出すこともあった。「À tout à l’heure」は、家にいるのが申し訳ないくらい晴れた日に、家の庭で作り始めた。制作意欲に溢れていたから、あえて機材の数を制限して庭に持ち出した。12弦ギター、MPCサンプラー、マイク、そしてカセット・レコーダーだけをね。そしてプラスチックのじょうろとか、植木ばさみとか、庭にあった物をたたいてパーカッションにした。ギターの音のイメージは、ずっと頭の中にあったけど、環境を変えたことがこの曲の土台となって、そのあとスタジオで完成させたんだ。この曲のイントロを聴くと、あの陽の光や、庭の様子が浮かんでくる。まるであの瞬間を記録した写真のようにね。もちろん歌詞も、あの晴れた日の外の風景に影響されてる。

出典:Qetic

今回は機材を外に持ち出すこともあったそうで、この曲は自分の庭で録音したものだとか。本人曰く「12弦ギター、MPCサンプラー、マイク、カセット・レコーダーを使った。そしてプラスチックのじょうろとか、植木ばさみとか、庭にあった物をたたいてパーカッションにしたよ・・・この曲のイントロを聴くと、あの陽の光や、庭の様子が浮かんでくる。まるであの瞬間を記録した写真のようにね」とのこと。

出典:monchicon

本人も述べていますが、スタジオの他に自宅の庭やガレージで録音した素材や、膨大なフィールド・レコーディングをもとに作られた今作からは新しい季節の到来を感じさせます。アシッド・フォーク的な生のサウンドとポップなエレクトロニカ、フィールドレコーディングを融合した独特なオーガニックサウンドは今作でも顕在ですね。聴いているとノスタルジックで古びた風景が浮かんできます。記憶のなかの風景を見ているようなユラユラしたサウンドが現実逃避させ、それは暖かいようでいて、少しつらくもあります。もちろん素晴らしい楽曲なのは確かなのですが、追憶に縛られそうになるというか。

Bibioは影響を受けたアーティストとしてAphex Twin、Autechre、Boards of Canadaなどを挙げています。彼は、そのBoards of CanadaのMarcus Eoinに才能を見出されアメリカLAのインディーレーベルMush Recordsから2005年『Fi』でデビューしました。ちなみにBibioという名前の由来は、フライフィッシングの釣り針の中の一種から取られたそうです。

そのアルバムに収録されている「Bewley In Grey」はL.L.BeanのCMに使用されています。

2006年にMuxh Recordsからリリースされた2ndアルバム『Hand Cranked』の中の楽曲「Zoopraxiphone」はトヨタのCMに使用されました。このアルバムでBibioはボーカルにも挑戦しています。CMが楽曲の雰囲気とよく合っていますね。Bibioの楽曲CMに結構使われています。トヨタ乗ってMeetできるなら是非乗りたい。

2009年2月、Mushより3rdアルバム『Vignetting The Compost』をリリースしました。その4ヶ月半後、Warp Recordsより早くも4thアルバム『Ambivalence Avenue』リリース。さらに同年、未発表+リミックス音源を収録した『The Apple and the Tooth』をリリースしています。

4thアルバムに収録された「Lovers’ Carvings」はGoogle GlassのPVで使われていたので聴いたことがあるかもしれません。

2011年にリリースされた「Carosello Shinka Ron」は2012年にホンダのCMにも使用されました。この勢いで日産、スバル、ダイハツも続いてください。


Smashの人、フジロックに呼んでください。

国内盤のボーナストラック「But I Wanted You」は本編ラストを飾る「You Won’t Remember…」のアンサー・ソングらしいです。わたしiTunesで買いましたので聴いてませんが。

Bibio
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