メモがてらTwitterがテストしているというウェブの新しいデザインについて述べておきたい。

MashableやTechCrunchによれば、TwitterがFacebookやGoogle+に似た新しいウェブインターフェースのテストをしているという。Mashableのアシスタントエディター、Matt Petronzioはテストレイアウトが適用されたユーザーの一人だ。プロフィール写真は大きくなり、Facebookのようなカバーフォトが適用されている。メインコンテンツであるツイートはカード型になり、Pinterestのようなタイルレイアウトでイメージをフィーチャーしている。Twitter Cardsはデフォルトで表示されている。

Twitter Testing Major Profile Redesign That Looks a Lot Like Facebook | Mashable
Twitter Still Testing and Changing Profile Redesign | Mashable
Twitter’s Web Presence Might Soon Break Away From The Vertical Timeline Flow | TechCrunch

twitter-new-layout
via Mashable

Twitterは2月の初めにもアップデートをしている。左カラムのトップにプロフィール写真とカバーフォトが表示されるようになった。フォントも変更され、何やら落ち着かないカラーになった(リンクのカラーは変更できた)。ヘッダーは黒から白へ変更され、よりフラットになった。個人的には以前よりもヘッダーの存在を意識していまい、ツイートを見ることに集中できない。まぁTweetDeckがあるので何も問題ないのだけれど。

さて、このタイルレイアウト/マガジンレイアウトは写真や動画といったコンテンツとの相性が良い。テキストを読まなくてもそのコンテンツが何を示しているのか分かりやすく、イメージだけなら目線がガタガタになることもない。非言語コミュニケーションに向いている、とも言える。尾原和啓氏が著書『ITビジネスの原理』でも述べている通り、写真にはたくさんの情報が含まれており、それを瞬間的に読み取ることができる優れたメディアである。言葉を交わさずともコミュニケーションができるハイコンテクストなメディアだ。

Twitterの収益源は広告である。タイムラインを見ることで広告が目に入る。タイムラインに滞在してもらうことが全てだ。今回のテストはイメージをフィーチャーしたタイルレイアウトによって非言語コミュニケーションに軸を移し、タイムラインを魅力的に見せようということなのかもしれない。知らんけどな。

ただTwitterはそのような種類のサービスだっただろうか。現時点ではそうだと言えない。言語コミュニケーションが今のTwitterの主軸であり、今回テストされているデザインで利用者が増えるとは思えない。見た目は美しいかもしれないが、全く実用的ではない。

タイルレイアウトではテキスト/写真/レイアウトのバランスを整えるのが非常に難しい。いつぞやのはてなブックマークのリニューアルのように目線はガタガタになる。その少しのストレスが、利用頻度を減少させる。Pinterestのように完全にビジュアルをメインとし、テキストをスーパーサブとするなら問題ない。あるいはビジュアルの情報量が多く、それだけでそのコンテンツが自分にとって必要かどうか判断できるも場合もOKだ。ビジュアルというのは目を引くメディアだが、そこに意味がなければストレスでしかない。

ただでさえ今のTwitterはタイムラインに写真を表示させている。ユーザーが興味をもっていなくても関係なしに目に入り込んでくる。ストリームだからまだマシだが、それがタイルレイアウトになったらどうだろう。新宿のネオン状態だ。いいか、もうチョコレートの話はやめろ。
一覧性が低く、その中で興味のあるなしに関わらずコンテンツが主張してくるのを想像してみて欲しい(しかも多くのメディア記事は意味不明なアイキャッチを使っている)。TechCrunchはこのようなレイアウトはツイートの寿命を伸ばすようなことを述べているか本当にそうだろうか。誰がどう見ても一覧性は下がっている。

Twitterはインタレストグラフが形成されやすいサービスだが、そのインタレストグラフは基本的に言語があって形成されたものだ。必ずにも非言語コミュニケーションによって形成されたものではない。仮にそうならInstagramやTumblrのほうが明らかにサービスとして優れている。

Twitter-Reports-Fourth-Quarter
決算資料

昨年11月にニューヨーク証券取引所に上場を果たしたが、四半期決算(10~12月期)では赤字が大幅に拡大している。Twitterの発表によると、四半期中の月間平均ユーザー数は2億4100万人タイムライン閲覧数は1480億回。前四半期からのユーザー数の伸び率は3.8%と一応増えているものの、鈍っている。一方でタイムライン閲覧数は6.3%減少している。

User Growth for Twitter Starts to Slow, and Stock Dips | The New York Times
Twitter’s Revenue Jumps but So Do Concerns | THE WALL STREET JOURNAL

モバイルからの閲覧が7割らしいのでウェブのデザインについてとやかく言ったところで大した問題ではないのかもしれない。だが、思想レベルで異なるサービスになるのではないだろうか

ちなみにiOSのアプリのほうが悲惨な状況になっている。タイムラインの閲覧のためにエンゲージメントを増やそうと、ツイートに本来サブであった返信/RT/お気に入りが表示され、さらには写真まで表示され、通知に数が表示され、見つけるが謎にフィーチャーされた。確かに、ユーザーが求めていたことかもしれない。しかしそれをどんどん詰め込んでいった結果、何ができるのか、何をすべきなのかさっぱり分からないサービスができあがる。何となく使わなくなっていく。自分はTweetbotを使っている。

なんだかんだ言ってもTwitterはすごくナイスなサービスだと思っている。しかし、テスト中のデザインが適用されるのであれば、今の方向性とは全く異なるサービスになるだろう。

しかしあれだよね、非言語コミュニケーションってのは良いよね。いろいろ書いたけどこれで成長しちゃったらごめんなさいしよう。ではreblogしてきます。

ITビジネスの原理
ITビジネスの原理

posted with amazlet at 14.02.13
NHK出版 (2014-01-30)
売り上げランキング: 42

Latest